
システム手帳を始めてみたい。一番最初に使うにはどのサイズが良いですか? システム手帳に興味を持つ方が増え、こんな質問を受ける機会が増えている。この時の自分の答えはずっと前から迷わずこれ。
「絶対バイブルサイズ!」。
仕事でも、プライベートでも、バイブルサイズは初めての1冊にして永遠の定番。今回は、バイブル絶対主義な極私的理由を語ってみよう。
「絶対バイブルサイズ!」。
仕事でも、プライベートでも、バイブルサイズは初めての1冊にして永遠の定番。今回は、バイブル絶対主義な極私的理由を語ってみよう。
求めるすべてがバイブルに集約されている
システム手帳の本質は備忘録だ。人は必ず忘れる。その対策として、忘れてはいけないことを記録する道具が手帳である。だから、いつでもどこでも携帯しやすく、使いやすいサイズが求められる。1日に何度も開き、記入し、見返す。だから堅牢でなければならず、素材には丈夫な革が必須となる。さらにページを1枚単位で差し替えできる構造により、個々の使い方に最適な1冊を作ることができる。これらの条件を最もバランスよく満たす理想のサイズ、それがバイブルサイズなのだ。
戦場で生まれ日常に生きるバイブルサイズという伝説
システム手帳が誕生したのは1920年。すでに100年以上の歴史を持ち、伝統ある筆記具の中でもかなり古い部類に入る。考案者は英国陸軍の大佐。軍事、科学、医療などの他分野の情報を1冊に集約し、携帯する情報処理ツールとしての「パーソナルオーガナイザー」の発想から生まれた。この時に定めたサイズが日本では「バイブルサイズ」と呼ばれているものだ。
ここからは私見となる。1920年は第一次世界大戦終結のわずか2年後。当時の欧州戦線は塹壕戦が主流だった。トレンチ(=塹壕)コートをはじめとする軍用の上着の大型ポケットにすっぽり収まりやすく、出し入れが容易であること。紙面の適度な面積を保ちつつ、縦長で扱いやすく、狭い場所や立ったままでも記録や参照がしやすいこと。こうした実用性を前提にこのサイズに集約したのではと考えられる。軍用から始まったバイブルサイズは、やがて牧師や弁護士など、オフィスを越えて活動する専門職に広まり、ビジネスや日常の中へと一気に拡大していった。
歴史の中でもこのサイズは多くの物語を生んでいる。たとえば1944年、ノルマンディ上陸作戦において、ある連合軍将校は銃弾を受けたのだが、ポケットに入れていた分厚いシステム手帳が命を救った。1976年、英国・ネパール両陸軍によるエベレスト南西壁登頂では重要なデータブックとして活用されている。極限の現場で歴史に選ばれ続けてきた。それがバイブルサイズなのだ。
ここからは私見となる。1920年は第一次世界大戦終結のわずか2年後。当時の欧州戦線は塹壕戦が主流だった。トレンチ(=塹壕)コートをはじめとする軍用の上着の大型ポケットにすっぽり収まりやすく、出し入れが容易であること。紙面の適度な面積を保ちつつ、縦長で扱いやすく、狭い場所や立ったままでも記録や参照がしやすいこと。こうした実用性を前提にこのサイズに集約したのではと考えられる。軍用から始まったバイブルサイズは、やがて牧師や弁護士など、オフィスを越えて活動する専門職に広まり、ビジネスや日常の中へと一気に拡大していった。
歴史の中でもこのサイズは多くの物語を生んでいる。たとえば1944年、ノルマンディ上陸作戦において、ある連合軍将校は銃弾を受けたのだが、ポケットに入れていた分厚いシステム手帳が命を救った。1976年、英国・ネパール両陸軍によるエベレスト南西壁登頂では重要なデータブックとして活用されている。極限の現場で歴史に選ばれ続けてきた。それがバイブルサイズなのだ。

冬用ジャケットのポケットにバイブルサイズがぴったり収まる。その絶妙な縦横比が取り出しやすさを実現している。
「ちょうどいい」を極めたバイブルサイズの使い勝手
バイブルサイズのリフィルは、縦170mm・横95mm。A5サイズに対して約50%の面積に相当するが1つの情報を集約するには十分な広さだ。縦はA5より約40mm短いだけなので、備忘録として箇条書きを多用する使い方であれば、50%の狭さはあまり感じない。

横幅を広く使いたい場合は、システム手帳を90度回転させてカバーを縦開きにすればよい。これによりリングの干渉も避けつつ、ワイドな筆記スペースを確保できる。

「ノックス」のバイブルサイズのリング径は16mmが基本。このリング径では約130枚を収納可能だ。また上写真の「エヌ/ピアス」では20mmの大型リングを採用し、約180枚を綴じることができる。

バイブルサイズのリングは6穴構成。中央に広いスペースがあり、右利きの場合、左ページに記入する時に手が干渉しない工夫となっている。また上下3つずつのリング間の基本ピッチ(間隔)は、ミニやミニ5と共通している。このため、上写真のようにミニ5を一時的に綴じておくこともできる。自分はダイアリーの見開きにミニ5のTODOリストを綴じて活用している。ページを閉じた時はミニ5の上端がほどよく飛び出し、ページファインダーやインデックスとして機能するのが便利だ。
書く機能に加え、持ち運びの洗練も際立つ
バイブルサイズは「書く道具」であると同時に、日常の小物を収めるストレージとしても絶妙なサイズ感を備えている。

例えば上写真の「フラクト」では中面左にファスナー付きポケットと2つのササマチポケットを装備。紙幣やコイン、チケット、領収書などをまとめて収納できる。表面側に大型ポケットをまとめたデザインなので、出し入れしやすく、リフィルとの干渉もない。スマホやICカードで決済をしているシステム手帳ユーザーにとっては、手帳をお財布化するのに最適なサイズなのだ。
アクセサリーリフィルも充実しており、「ファスナー付クリアポケット」や「ジッパー付ポケット」など収納するリフィルも多彩に揃っている。メモリーカードや充電ケーブルなど日常使いのツールをスマートにまとめておける。
アクセサリーリフィルも充実しており、「ファスナー付クリアポケット」や「ジッパー付ポケット」など収納するリフィルも多彩に揃っている。メモリーカードや充電ケーブルなど日常使いのツールをスマートにまとめておける。

バイブルサイズはペンの収納にも理想的だ。リフィルの縦は170mmなので、標準的なペン(140〜160mm)を収めるのにちょうど良い(上写真)。旅行などでは、「プロッター」の「本革ペンホルダーリフター」を追加し、常用しているボールペンとペンシルの2本をシステム手帳に収納。これでペンケースを持ち歩く必要がなくなる。
永遠の定番が叶える、自分だけの一冊

バイブルサイズは、長い歴史と多くのユーザーに育まれてきた定番。豊富なバインダーとリフィルやアクセサリーが揃い、仕事にもプライベートにもしっかり応えてくれる。使い込むほどに、自分だけの一冊へと育つ。
はじめての1冊にして、永遠のスタンダード。
「バイブル」には、聖書のほかに「必携」「その分野で最も重要な書」という意味もある。システム手帳におけるバイブルサイズとは、まさに信頼と機能美をまとった絶対標準なのだ。
はじめての1冊にして、永遠のスタンダード。
「バイブル」には、聖書のほかに「必携」「その分野で最も重要な書」という意味もある。システム手帳におけるバイブルサイズとは、まさに信頼と機能美をまとった絶対標準なのだ。
文・写真/清水茂樹(編集者・文具ディレクター)
1965年生まれ。
2004年に日本で唯一の文房具の定期誌「趣味の文具箱」を創刊。2016年からはシステム手帳の魅力と最新情報を発信する雑誌「システム手帳スタイル」を発刊。2009年から2022年まで日本文具大賞(ISOT)審査委員。
現在は主にシステム手帳の商品企画と、魅力の発信に取り組んでいる。
1965年生まれ。
2004年に日本で唯一の文房具の定期誌「趣味の文具箱」を創刊。2016年からはシステム手帳の魅力と最新情報を発信する雑誌「システム手帳スタイル」を発刊。2009年から2022年まで日本文具大賞(ISOT)審査委員。
現在は主にシステム手帳の商品企画と、魅力の発信に取り組んでいる。
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