1993年にKNOXの歴史を支えるひとつの本革シリーズが生まれた。
エイジングとともに革を育てるシステム手帳の楽しみは今となってはごく普通の体験になったがいわゆる“ベジタブルタンニンなめし”という言葉を聞くことさえ稀だった当時において、ある意味挑戦的なシリーズとなったPEARCE。
本格派レザーと言えばその圧倒的な歴史と職人技に裏付けられた欧州の素材が席巻する中で、PEARCEはまさにその時流に乗った本場英国のタンナーで仕上げられた「バッファローカーフ」を贅沢に、全身に使用したシリーズとして誕生した。
カーフとは生後6か月くらいの仔牛の革を言うわけだが、もちろんそれらも食肉の完全副産物であり、とても希少価値の高い素材として今でも革好きには愛されて止まない。
そのきめ細かな表面の美しさと滑らかな肌触りは決して成牛では得られない一級素材。
さらに、この革は一般の牛とは異なるバッファローであるわけで、成牛時に、より深く現れる表面の独特な凹凸感が微かに感じ取れる、実に味わいあるカーフスキンなのだ。
この魅力ある本革とともにブランドを支えるのは、今もなお一途にPEARCEを変わらず作り続けている熟練縫製職人の技。
繊細で、時にデリケートなこの革一枚一枚の個性と丁寧に会話を交わしながら形作られる手帳や小物たちは、バッファローカーフスキンの持つ力と相まって、きっと使う人の心をつかんで離さない。